
在学生には学生生活の魅力を、卒業生には学生時代の学びが現在の
仕事にどのように役立っているかを語って貰いました
2019年度修了
神奈川大学
学部(経営システム工学科):2010年4月入学,2014年3月卒業
大学院修士課程(システム工学専攻(経営系)):2014年4月入学,2016年3月修了
大学院博士後期課程(システム理工学専攻(経営システム系)):2016年4月入学,2019年3月修了
神奈川大学、工学部経営工学科特別助教として勤務(2019年4月~)。学生時代は、信頼性工学研究室に在籍。
現在の仕事内容(担当科目)を教えてください。
授業は経営工学にまつわる「制御プログラミング演習」や「生産システム工学演習」といった演習科目の補助を主に担当しています。他には例えば学内の仕事として、学科の魅力を学外に発信するための広報委員を担当しています。それ以外は研究をしています。
勤務して2年目ですが、仕事は裁量が大きいので大変ですがやりがいを感じています。
学生時代、特に大学院博士後期課程ではどんな内容の研究をしましたか。
ICT技術の発展によって、モノとモノとがつながりやすくなった結果、一部の小さな故障が大規模な故障を引き起こすことがあります。私はそのリスクを測るために、モノとモノとの「つながり」を考えたシステムの数理モデルの開発や、そのモデルに基づくシステムの正確な信頼性評価手法を研究しました。
大学入学前、経営システム工学科を選んだ理由、学部から修士課程に進学した理由をお聞かせください。さらに、大学院博士後期課程に進学しようと思ったきっかけは何でしょうか。
経営システム工学科で学べる、分野横断的な経営管理技術に魅力を感じたからです。とくに大学入学前は、情報処理技術・人間工学・統計学の科目に興味がありました。
また、学部生時代に学科で紹介して頂いた研究所でのインターンシップをきっかけに、研究職を目指すようになり、研究者としての能力を培うために大学院に進学しました。
アカデミック職に進むことを決心した主な理由は何でしょうか。
決心した理由は、大学院生時代にTA(Teaching Assistant)をして教育のやりがいを感じたり、学会でたくさんの人と出会うのが楽しかったり、自分の研究が論文として公表される喜びがあったり、それらの積み重ねでした。博士2年の夏ごろにこの進路を選択しました。
未来の後輩(博士後期課程希望者、院進学希望者、受験生、新入生など)にメッセージをお願いします。
大学院生時代は研究分野や国籍の垣根をこえて、たくさんの人と交流することをお勧めします。たくさんの刺激や知識が得られ、結果的に自分の研究にも夢中になって取り組めるからです。自分ももっとたくさんの人と交流すれば良かったと思います。
その他(経営システム工学科の大学院に進学して、よかったと思う点はありますか。
大学院生の人数は多くありませんが、そのおかげで少人数による密度の高い教育を受けられたことは良かったです。先生方から貴重なアドバイスを多く頂けました。
また同じ理由から、学年や研究室が違っても、他の院生との距離感が近く、困ったときにお互いが気軽に相談できたのも学ぶ環境として良かったです。
経営システム工学科の目的は、「経営」を数理的に理解し、既存のシステムの評価や新しい企画を生み出せる能力を養成することにあります。ここでの経営とは、会社や企業の経営の意味よりもずっと広く、社会の様々な分野における多種多様な意思決定やマネジメント全般のことを指します。
社会のあらゆる組織の経営には、現状を客観的かつ定量的に理解し、新しい活動や事業を計画し、実施・実現することが求められています。このような経営上の問題に対して、数理を基礎として解決を図ろうとする立場を、「経営システム工学」と呼びます。
経営学部では、企業経営にかかわる人達の成功/失敗などの過去の経験を重視していると思います。経験則を蓄積し、議論を通して理論化されることで、企業経営とは何か、どうあるべきかが体系化されると言ってよいでしょう。
これに対して経営システム工学科では、より数学的・工学的にアプローチします。企業組織の中で、特にヒト・モノ・カネ・情報に関する問題を数理的なモデルで表現し、さまざまな手法を用いて、モデルの特性を明らかにしたり、最適な解を見つけたりして、意思決定の補助的道具として用います。数理モデルを利用することの大きな利点は、個人の経験値や技術レベルにかかわらず同一の結果を得ることができ、検証や改良が容易にできる点にあります。
経営システム工学科では、社会の様々な問題に対して数理的な解決策を見いだせる技術者の育成を目的としています。分野を大きく「数理システム」「生産システム」「企業システム」「社会システム」の4つに分けた上で、それぞれの特性に合わせた授業科目を配置しています。数学、確率・統計、プログラミングなど、全分野に共通する基盤的な科目は必修または選択必修としていますが、それ以外は自分の興味や将来像に合わせて、幅広い分野の履修ができるように設計されています。
現在の入学定員は80人です。
学年によって変動しますが、女子学生の割合は10〜25%程度です。
学部は勉強中心の場であり、専門的な内容を理解し、使えるようになることを目指します。対する大学院は研究中心の場であり、これまでに知られていなかった法則を発見したり、新しい技術を生み出せる能力を身に着けることを目指します。